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土壌汚染対策法に基づく指定支援法人

土壌汚染対策法

土壌汚染対策法の概要

はじめに

 土壌汚染対策法は、土壌汚染の状況の把握、土壌汚染による人の健康被害の防止に関する措置等の土壌汚染対策の実施を図ることにより、国民の健康を保護することを目的としています。

土壌汚染対策法の主な歩み

平成14年 5月 土壌汚染対策法成立
平成15年 2月 土壌汚染対策法施行
平成21年 4月 土壌汚染対策法の一部を改正する法律公布
10月 土壌汚染対策法施行令の一部を改正する政令公布
汚染土壌処理業の許可の申請の手続等に関する省令公布
平成22年 2月 土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令公布
汚染土壌処理業の許可の申請の手続等に関する省令の一部を改正する省令公布
土壌汚染対策法に基づく指定調査機関及び指定支援法人に関する省令の一部を改正する省令公布
4月 土壌汚染対策法の一部を改正する法律全面施行
平成23年 7月 土壌汚染対策法施行規則及び土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令公布・施行
汚染土壌処理業に関する省令の一部を改正する省令公布・施行
平成26年 8月 土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令公布・施行
平成28年 3月 土壌汚染対策法施行令の一部を改正する政令公布
土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令公布
汚染土壌処理業に関する省令の一部を改正する省令公布
平成29年 4月 土壌汚染対策法施行令の一部を改正する政令施行
土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令施行
汚染土壌処理業に関する省令の一部を改正する省令施行
5月 土壌汚染対策法の一部を改正する法律公布
10月 土壌汚染対策法施行令の一部を改正する政令公布
12月 土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令公布
汚染土壌処理業に関する省令の一部を改正する省令公布
土壌汚染対策法に基づく指定調査機関及び指定支援法人に関する省令の一部を改正する省令公布
環境省が所管する法令に係る民間事業者等が行う書面の管理等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則の一部を改正する省令公布
平成30年 4月 土壌汚染対策法の一部を改正する法律第1条施行
土壌汚染対策法施行令の一部を改正する政令施行
土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令施行
汚染土壌処理業に関する省令の一部を改正する省令施行
土壌汚染対策法に基づく指定調査機関及び指定支援法人に関する省令の一部を改正する省令施行
環境省が所管する法令に係る民間事業者等が行う書面の管理等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則の一部を改正する省令施行
9月 土壌汚染対策法施行令の一部を改正する政令公布
平成31年 1月 土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令公布
汚染土壌処理業に関する省令の一部を改正する省令公布
土壌汚染対策法に基づく指定調査機関及び指定支援法人に関する省令の一部を改正する省令公布
4月 土壌汚染対策法の一部を改正する法律第2条施行
土壌汚染対策法施行令の一部を改正する政令施行
土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令施行
汚染土壌処理に関する省令の一部を改正する省令施行
土壌汚染対策法に基づく指定調査機関及び指定支援法人に関する省令の一部を改正する省令施行
令和2年 4月 土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令公布
令和3年 3月 土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令公布
4月 土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令施行
令和4年 3月 土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令公布
汚染土壌処理業に関する省令の一部を改正する省令公布
7月 土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令施行
汚染土壌処理業に関する省令の一部を改正する省令施行

土壌汚染対策法の目的としくみ

土壌汚染対策法のしくみ12

土壌汚染とそのリスク

土壌汚染とは?

 土壌は、水や空気と同じように、私たち人間を含んだ生き物が生きていく上で、なくてはならないものです。土壌は、地中にいる生き物が生活する場であり、土壌に含まれる水分や養分が、私たちの口にする農作物を育てます。
 土壌汚染とは、こういった働きを持つ土壌が人間にとって有害な物質によって汚染された状態をいいます。原因としては、工場の操業に伴い、原料として用いる有害な物質を不適切に取り扱ってしまったり、有害な物質を含む液体を地下に浸み込ませてしまったりすることなどが考えられます。また、土壌汚染の中には、人間の活動に伴って生じた汚染だけでなく、自然由来で汚染されているものも含まれます。

土壌汚染のリスク

 土壌の汚染があっても、すぐに私たちの健康に影響があるわけではありません。土壌汚染対策法では、土壌汚染による健康リスクを以下の2つに分けて考えています。

(1)地下水等経由摂取リスク
 土壌に含まれる有害物質が地下水に溶け出して、その有害物質を含んだ地下水を口にすることによるリスク。
(土壌溶出量基準(26物質))
【例】土壌汚染が存在する土地の周辺で、地下水を飲むための井戸が存在する場合。
地下水を飲む
(2)直接摂取リスク
 土壌に含まれる有害物質を口や肌などから直接摂取することによるリスク。
(土壌含有量基準(9物質))
【例】子どもが砂場遊びをしているときに手についた土壌を口にする、風で飛び散った土壌が直接口に入ってしまう場合。
砂場で遊ぶ

 土壌汚染対策法は、これらの健康リスクをきちんと管理するため作られました。
 同法では、(1)地下水等経由の摂取リスクの観点からすべての特定有害物質について土壌溶出量基準が、(2)直接摂取リスクの観点から特定有害物質のうち9物質について土壌含有量基準が設定されています。

 土壌汚染に関する問題とは、土壌汚染が存在すること自体ではなく、土壌に含まれる有害な物質が私たちの体の中に入ってしまう経路(摂取経路)が存在していることです。この経路を遮断するような対策を取れば、有害な物質は私たちの体の中に入ってくることはなく、土壌汚染による健康リスクを減らすことができます。つまり、土壌汚染があったとしても摂取経路が遮断され、きちんと健康リスクの管理が出来ていれば、私たちの健康に何も問題はありません。

土壌汚染状況調査のきっかけ

 土壌汚染の状況を把握するための調査を対象とする土地は、次の[1]~[3]の場合です。

[1]有害物質使用特定施設の使用の廃止のとき(法第3条

操業を続ける場合には、一時的に調査の免除を受けることも可能(法第3条第1項ただし書き)
一時的に調査の免除を受けた土地で、900㎡以上の土地の形質の変更を行う際には届出を行い、都道府県知事等の命令を受けて土壌汚染状況調査を行うこと(法第3条7項・8項)
[2]
一定規模以上の土地の形質の変更の届出の際に、土壌汚染のおそれがあると都道府県知事等が認めるとき(法第4条
3,000m²以上の土地の形質の変更又は現に有害物質使用特定施設が設置されている土地では900m²以上の土地の形質変更を行う場合に届出を行うこと
土地の所有者等の全員の同意を得て、上記の届出の前に調査を行い、届出の際に併せて当該調査結果を提出することも可能(法第4条第2項)
[3]
土壌汚染により健康被害を生ずるおそれがあると都道府県知事等が認めるとき(法第5条

 物質ごとに行うべき調査には「土壌ガス調査」「土壌溶出量調査」「土壌含有量調査」があり、表に示すように物質の分類によって必要な調査が定められています。

○→必要とする調査  ×→調査不要

特定有害物質 土壌ガス調査 土壌溶出量調査 土壌含有量調査
第1種特定有害物質
(揮発性有機化合物)
12種類

(土壌ガス調査で特定有害物質が検出された場合)
×
第2種特定有害物質
(重金属等)
9種類
×
第3種特定有害物質
(農薬等)
5種類
× ×

 土壌汚染状況調査に関する詳細については、「土壌汚染状況調査の流れ 」をご覧ください。

区域の指定について

 土壌汚染状況調査の結果で基準を超えていた場合、都道府県知事等はその土地を健康被害のおそれの有無に応じて、要措置区域又は形質変更時要届出区域に指定します。
 土壌汚染対策法においては、法第3条、法第4条、法第5条による調査のほか、自主的(法第4条第2項の調査の結果の提出があった土地を除く。)に調査した土壌汚染の調査結果について、都道府県知事等に区域の指定を申請することができます(法第14条)。

図:区域指定されるまで

汚染の除去等の措置について

 土壌汚染対策法の趣旨の一つは「汚染された土壌を適切に管理していくこと」です。そのため、健康被害のおそれのある要措置区域では、都道府県知事等は、土地の所有者等に対し、人の健康被害を防止するために必要な限度において、講ずべき汚染の除去等の措置(指示措置)等を示して、汚染除去等計画の作成及び提出を指示します。
 指示措置は、

地下水等経由の摂取リスクの観点からの土壌汚染がある場合(土壌溶出量基準に適合しない場合)は、地下水の水質の測定、封じ込め※1等です。
直接摂取のリスクの観点からの土壌汚染がある場合(土壌含有量基準に適合しない場合)は、盛土等です。

 なお、指示措置が土壌汚染の除去※2とされるのは、土地の用途からみて限定的な場合になります。
 土地の所有者等は指示措置のほか、これと同等以上の効果を有すると認められる汚染の除去等の措置のうちから、講じようとする措置(実施措置)を選択することができます。
 指示措置及びこれと同等以上の効果を有すると認められる汚染の除去等の措置は、土壌汚染状態と土地の利用の方法等に応じたリスク(「地下水等経由の摂取リスク」と「直接摂取リスク」に分類)により異なり、下表に示すとおりです。
 汚染除去等計画に記載された実施措置については、各措置に応じ技術的基準が定められており、これに適合しない場合は、都道府県知事等から計画の変更命令が出されます。
 土地の所有者等は、汚染除去等計画に記載された実施措置が完了したときは、都道府県知事等に措置の完了等の報告をしなければなりません。
 一方、形質変更時要届出区域では、土壌汚染の摂取経路がなく健康被害の生ずるおそれがないため、汚染除去等の措置を求められることはありません。ただし、土地の形質の変更を行う場合は、都道府県知事等にあらかじめ届出が必要になります。

※1 封じ込め・・・
汚染土壌を封じ込めて地下水等による汚染の拡散を防止する措置です。原位置封じ込めや遮水工封じ込め、遮断工封じ込め等があります。
※2 土壌汚染の除去・・・
汚染された土壌を浄化や除去する措置です。掘削除去や原位置浄化等があります。

指示措置及びこれと同等以上の効果を有すると認められる
汚染の除去等の措置の一覧表

リスク   土地の汚染状況 指示措置 指示措置と同等以上の効果を有すると認められる汚染除去等の措置
地下水の摂取等によるリスクに対する汚染の除去等の措置 特定有害物質による土壌溶出量基準が適合せず、地下水汚染が生じない土地 地下水の水質の測定 ②の項~⑥の項に定める措置
第一種特定有害物質による土壌溶出量基準が適合せず、地下水汚染が生じている土地 原位置封じ込め
又は 遮水工封じ込め
イ 地下水汚染の拡大の防止
ロ 土壌汚染の除去
ハ 地下水の水質測定(第一種特定有害物質による目標土壌溶出量及び目標地下水濃度を超えない場合に限る。)
第ニ種特定有害物質による第二溶出量基準が適合せず、地下水汚染が生じている土地 原位置封じ込め
又は 遮水工封じ込め
イ 遮断工封じ込め
ロ 地下水汚染の拡大の防止
ハ 土壌汚染の除去
③を除く
第ニ種特定有害物質による土壌溶出量基準が適合せず、地下水汚染が生じている土地
原位置封じ込め
又は 遮水工封じ込め
イ 不溶化
ロ 遮断工封じ込め
ハ 地下水汚染の拡大の防止
ニ 土壌汚染の除去
ホ 地下水の水質測定(第二種特定有害物質による目標土壌溶出量及び目標地下水濃度を超えない場合に限る。)
第三種特定有害物質による第二溶出量基準が適合せず、地下水汚染が生じている土地 遮断工封じ込め イ 地下水汚染の拡大の防止
ロ 土壌汚染の除去
⑤を除く
第三種特定有害物質による土壌溶出量基準が適合せず、地下水汚染が生じている土地
原位置封じ込め
又は 遮水工封じ込め
イ 遮断工封じ込め
ロ 地下水汚染の拡大の防止
ハ 土壌汚染の除去
ニ 地下水の水質測定(第三種特定有害物質による目標土壌溶出量及び目標地下水濃度を超えない場合に限る。)
直接摂取によるリスクに対する汚染の除去等の措置 第ニ種特定有害物質による土壌含有量基準が適合しない土地(例)乳幼児の砂遊び等で利用されている土地で、⑧⑨の措置の効果の確保に支障がある土地 土壌汚染の除去 イ 舗装
ロ 立入禁止
⑦を除く
第ニ種特定有害物質による土壌含有量基準が適合しない土地
(例)居住の用に供されている土地等で盛土により、日常生活に著しい支障がある土地
土壌入換え イ 舗装
ロ 立入禁止
ハ 土壌汚染の除去
⑦~⑧を除く
第ニ種特定有害物質による土壌含有量基準が適合しない土地
盛土 イ 舗装
ロ 立入禁止
ハ 土壌入換え
ニ 土壌汚染の除去

※措置の内容については下表の<措置の内容>をご参考ください。

措置の内容

措置 内容
地下水の水質の測定 要措置区域であるが地下水汚染が生じていない土地の場合に、地下水汚染が生じていないことを確認するために、定期的に地下水の水質の測定を行うこと。
また、地下水汚染が生じているが目標土壌溶出量及び目標地下水濃度に適合している土地の場合に、当該目標土壌溶出量及び目標地下水濃度を超えていないことを確認するために、定期的に地下水の水質の測定を行うこと。
測定結果を都道府県知事等に報告しなければならない。
原位置封じ込め 汚染土壌が存在する区画の側面を、不透水層の深さまで、鋼矢板等の遮水効果のある構造物で囲み、有害物質が地下水経由で要措置区域外に流出しないようにすること。
措置が完了しても、構造物が損壊しないように管理が必要。
遮水工封じ込め 地中に遮水シート等の遮水工を設置し、その内部に汚染土壌を封じ込め、汚染土壌と地下水の接触を防止すること。
措置が完了しても、遮水工が損壊しないように管理が必要。
遮断工封じ込め 遮水工封じ込めよりもさらに厳重なコンクリート構造物を設置し、その内部に汚染土壌を封じ込め、汚染土壌と地下水の接触を防止すること。
措置が完了しても、構造物が損壊しないように管理が必要。
土壌汚染の除去 汚染土壌を、掘削して要措置区域外に搬出したり、掘削しないで要措置区域内で浄化することにより土壌汚染の除去を行なうこと。
前者は、原則として都道府県知事が許可した「汚染土壌処理施設」で処理することになる。
後者は、熱処理、洗浄処理、化学処理、生物処理、抽出処理等の方法がある。
地下水汚染の拡大の防止 地下水汚染の拡大を防止できる地点に揚水設備や透過性地下水浄化壁を設け要措置区域外へ地下水汚染が拡大しないようにすること。
不溶化 第二種特定有害物質を対象として、汚染土壌に薬剤の注入等を行い、特定有害物質が水に溶け出さないようにした土壌にし、要措置区域外へ地下水汚染が拡大しないようにすること。
汚染を除去したことにならないので、土壌汚染の除去に該当しない。
土壌入換え 土壌含有量基準に適合しない場合に、直接摂取経路を遮断するために、地表から深さ50cmまでの汚染土壌を掘削除去し、汚染されていない土壌で埋め戻して直接摂取の経路を遮断すること。
盛土 土壌含有量基準に適合しない場合に、直接摂取経路を遮断するために、地表面を砂利等で覆い、更に、厚さ50cm以上の汚染されていない土壌により覆うこと。
舗装 土壌含有量基準に適合しない場合に、直接摂取経路を遮断するために、コンクリートやアスファルト等で覆うこと。
立入禁止 土壌含有量基準に適合しない場合に、直接摂取経路を遮断するために、周囲に囲いを設け、人が立ち入ることができないようにすること。また、汚染土壌の飛散防止の措置を行う必要がある。

汚染土壌の搬出の規制について

 要措置区域等内から汚染土壌を搬出する場合には、事前の届出義務があります。このほか、汚染土壌の運搬は、運搬基準の遵守と管理票の交付・保存義務があります。
 さらに、汚染土壌を要措置区域等外へ搬出する者は、原則として、その汚染土壌の処理を汚染土壌処理業者に委託しなければならないと定められています。汚染土壌処理業者とは、汚染土壌の処理を業として営む者を言い、営業に当たっては、都道府県知事等の許可が必要です。
 なお、汚染土壌の処理の委託の例外として、汚染土壌について処理の委託を行わずに、一定の条件を満たした他の要措置区域等へ移動することができます。